“おい、眼鏡。
★『ラットレース』(※憑依、憑依体質、取り憑き、友だち、同級生、インコ、死、埋葬、殺人事件、犯人、探偵、オカルト、謎解き、ミステリ、変人、入院、先輩、願い、いじめ、交通事故、意識不明、家出少女、写真部) 著者名:方波見大志
出版社:ポプラ社
★★★★★
出版年:2007.10
ISBN :9784591099568
見りゃわかんだろ。
俺は妖精だ。名前はまだない”
すげー面白かった。
最高のラノベじゃないですか?
一般小説ながらに。
キャラ立ちが成功してるのですよ、これ。
プラス、西尾維新的な騙しが魅力。
中盤、あっと驚くサプライズが用意されてます。
聞いてないよ、な展開です。
それにまだ真ん中あたりだし。
こういうことはラストにもっていくもんじゃないか? いいのか? と戸惑いました。
ホント、西尾維新の小説によくある感じのトリックというかでして、
ここでぐぐぐっとより物語がおもしろくなっていくのです。
プロローグが一人称のくせに第一章からは三人称の秘密はここにあったのかよ。と。
いい意味で脱力。
うまい伏線だ。
作者は昨年ポプラ社小説大賞で大賞獲った人。
「削除ボーイズ〜」の人ね。
前作で2000万円ってのはちょっと……と正直思っていたんですけど、
本作でなら2000万の価値はあるのではないでしょうか。
才能が開花したと思いました。
ラットレースっていってもネズミは一匹も出てこないんですけど、
生存競争めいた意味があるらしいです。
幽霊は、生き返るために生者の肉体を求める。
生者は、乗っ取られないようにがんばる。
そんな関係です。
まずは物語の最初をいく高校生の中島と片里名先輩。
周りから見れば中島は片里名先輩の下僕で通ってる。
片里名先輩は<弁慶>という異名持ち。
そんな彼女にインコの埋葬を手伝ってほしいと頼まれた中島は、彼女といっしょに埋葬しようとするのですが、
インコから生えてきたのは禿げたオッサン。
先輩には姿は見えなかったのだけど、中島にだけは見えていた。
オッサンはずーと先輩に付きまとっている。
中島はクラスメートの変人コンビ・伊藤さんと岡部に相談。
2人は探偵めいたことをやっているから。
岡部が先輩の手を握っていったひとこと、
“この手、もう一生洗いません。憑依体質万歳!”
とか、笑える場面がけっこうあります。
オッサンのセリフとか、
願いの意味を叶え違えることとか。
のちにオッサンはとある殺人事件の被害者であることがニュースにより発覚。
オッサンはしばらくして片里名先輩に憑依するのですが、生前の記憶がないらしく<俺は妖精>の一点張り。
願いをかなえてくれるらしいですよ。
別の姿で現われたのは、先輩がそう願ったから。
次第に乗っ取られていく先輩の身体を取り戻すため、
彼の死の真相や、先輩の過去などを追っていくのです。
褒めどころは、徐々に身体を奪われていく過程でしょうか。
徐々にってところがうまい。
まずは味覚がなくなって……とか、
五感が奪われていくのがリアリティあります。
いわれてみればそうなっていくよね。
それなのに今までの小説ではこういう描かれ方されなかったのが不思議というか、新境地開拓ですよ。


