2006年07月31日

●『キリサキ』(※魂)


●『キリサキ』(※連続殺人鬼、案内人、殺し、名前、姉、学校、いじめ、麻薬、刑事)
著者名:田代裕彦(著)
出版社:富士見書房
富士見ミステリ文庫
★★★★☆
出版年:2005.02
ISBN :4829162929

“俺は、死ぬはずじゃなかってってことか?”

 すげーおもしろかった。
 
 主人公の<俺>はなぜか死んでしまい、あの世とこの世の境にいた。
 そこで会った案内人に生き返らせてもらえることになったが、
 抜け殻になった俺の体には誰かが入ってしまい、
 自分の体じゃなく他人の体に入ることになる。
 自殺した霧崎いづみという、女の身体に。
 自分の体を取り戻す方法はただ1つ。
 俺の体に入った<誰か>を殺すこと。
 
 少し前に読んだ『シナオシ』の姉妹本というかなんというか。
 共通項が多い。
 作者は違う作品だと割り切っているようだけど、世界観はほぼ同じ。
 ラストあたりに隠された真実・カラクリも同様に見事だった。
 かなりのサプライズ。
 すごい。
 
 あとは、殺しを行うものと、殺されるもの、または残された遺族や友人の気持ちってのがうまく書かれていて、許せる殺人というか、人殺しを<可>と思わせられる作品だった。
 同じ場面を殺る側と殺られる側の視点で描くという書き方も面白い。
posted by 未衣名 at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 死者・死神・魂

2006年07月30日

☆『LA QUINTA CAMERA 〜5番目の部屋』(※アパート)


☆『LA QUINTA CAMERA 〜5番目の部屋』(※留学生、イタリア、家族、名前、恋、夢)
著者名:オノナツメ(著)
出版社:小学館
 IKKIコミック
 コミックシード
★★★
出版年:2006.07
ISBN :4091883273

“男4人で暮らしているアパートの一室だ。
 4人とも働いているし、お互いの生活に干渉はしてない”


 というイタリアのアパートが舞台。
 タイトルにある5番目の部屋とは固定客がいない空き部屋。
 入れ替わりが激しい留学生に部屋を貸している。
 5番目の部屋に越してきた学生と、アパートの住人の物語です。

 とりあえず、これといった大きなことはなく、
 ちょっとしたところでしんみりきたりするストーリー。
 個性のあるイラストが好きです。

2006年07月29日

☆『しろいくも』(※不思議世界)


☆『しろいくも』(※夢、小悪魔、骨董屋、時計、犬、死、人とアヤカシ、殺人、日常、夢、花、桜、神、自分の居場所)
著者名:岩岡ヒサエ
出版社:小学館
IKKI
★★★★☆
出版年:2004.11
ISBN :4091885314

“ヒトでないことがヒトにバレてしまえば、どんな目に遭うかわからない”

 ↑ヒトとそうでない「ヒズミ」という種族のやりとりを描いた「ヒズミの丘」や、表題作「しろいくも」をはじめ、14の短編が詰まったコミック。
 いずれも不思議なファンタジックストーリーになっている。
 心に訴えかけられるものが多いです。

 もう一つプッシュしたいのが「花の咲く道」。
 日常世界に飽きた主人公が、刺激を求める話。
 鼻毛が出ている女性を発見したり、カツラがずれたオヤジを発見したり、
 車の事故を目撃したり。
 しかしそれでも彼は満たされることなく、
 ついに人を殺してしまう。

 ある種の人殺し話なのに、あたたかい。
 殺人後の感想は「さっぱりした」(by主人公)。
 いっちゃいけないことだけど、なんか許せる。
 ぜんぜんドロドロしくなく、むしろさわやか。
 最後はあたたかかったです。
posted by 未衣名 at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 不思議世界

2006年07月28日

★『殺人ピエロの孤島同窓会』(※殺人)


★『殺人ピエロの孤島同窓会』(※孤島、同窓会、いじめ、ネット、空き店舗、軍、宝)
著者名:水田美意子
出版社:宝島社
第4回2006年『このミステリーがすごい!』大賞特別奨励賞受賞作
★★★
出版年:2006.02
ISBN :4796651349

“殺す、殺してやるゥ!
 殺すったら殺すんだァ!”


 12歳(中一)が書いたバトルロワイヤル的殺人小説。
 12歳が書く話って、恋愛とかファンタジー、冒険じゃないんですか?
 首とか手足切断しちゃっていいんですか?
 主人公は年いってても高校生じゃないんですか?
 等身大の自分らを書くってもんじゃないんですか?
 いかんよ、こんなこと書いたら。
 と思った。
 自分より語彙力はある。というのは褒めるけど。

 殺しの小説です。
 就職した20歳前半の若者が、今は住人がほとんどいない地元の孤島で同窓会を開くのですが、
 同級生が同級生たちを殺すという事件が起こる。
 犯人は昔いじめられていた野比太一?
 という考えの中逃げ惑う主人公たち。
 島の外ではネットを通じて殺人事件のトトも始まる。
 殺される順番を当てられたら、最後に生き残るものを当てられたら……って、
 大金が懸けられている。
(あらすじは宝島社HPも参照)

 30人以上いた同級生もラストには数人に。
 殺しが進む中そのうち犯人とか真相がわかるんですが、
 殺人事件の「動機」ってのが気に入らないんだよね。
 まだ「むしゃくしゃして殺った」のほうが理解できる。

 心が暗くなりました。

若者作家の本(ブログ内リンク)
posted by 未衣名 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 殺人・犯罪・復讐

2006年07月27日

●『神様のおきにいり』(※家神)


●『神様のおきにいり』(※神、妖怪、精、祈祷師、家族、幼なじみ)
著者名:内山靖二郎
出版社:メディアファクトリー
MF文庫J
第2回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作
★★★★☆
出版年:2006.07
ISBN :4840115737

“ワシらを神と呼ぶか、妖怪と呼ぶか、そんなものはおまえたちの勝手だろう”

 おおっ。
 ライトノベルにしては珍しくハートフルで純粋なものがきましたよっ。
 すげーあたたかくてすげーおもしろかった。

 主人公智宏の家には家神(座敷わらしのような)である珠枝が住んでいる。
 それはみんなには内緒。
 ある日国土交通省のお役人が来たところで、桜の精や石の物の怪、そして祈祷師たちとの交流が始まる。
 
 妖怪はフツーに国に認められている世界で、国土交通省が管轄しているらしい。
 登場人物たちのやりとりが楽しいです。
 まずは神の珠枝。
 小さいくせに言葉遣いは年寄り。
 幼さが残るとことのギャップが素敵だったりする。
 主人公の幼なじみキャラとして登場しているのは瑞穂。
 昔はなかよしだったが最近は突き放されてる感じ。
 でもお土産で繋がってたりする。
 ほのぼのお姉さんキャラで出てきているのは桜の精の好香。
 智宏を魅惑。
 うるさい役として、ギャル系の祈祷師真希。
 毎回なにか文句いってます。
 無口キャラとしては真希の後ろにくっついているコヒロ。
 普段は静かだけど意外とデキる主従キャラ。
 
 全体的にキャラ立ちしているやつが多いので、うっかりしていると勝手に暴走してそうです。
 読んでて楽しい。一気に読める。
 これは続編やらなきゃいけないっしょ。
 と思った。
 意外な人物が犯人というラストのしかけもおもしろかったし。
 相手を想っているからこそっていうのがいいよね。
 伏線の張り方もうまかったです。
posted by 未衣名 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 神さま

※座敷わらしが出てくる話

 あまり思いつかないんだけど、『神様のおきにいり』に関連する本ということで。
 民俗学で有名な『遠野物語』にも出てくるらしい。
 未読ですけど。
 遠野に関しては『神様のおきにいり』に出てくる珠枝の誕生地でもあるらしいので、一度は読んでみたい本。

◆『天井うらのふしぎな友だち』柏葉幸子 講談社青い鳥文庫ほか
 座敷わらしが主人公の住む家に住み着く。
 その数4人。
 笑える楽しいお話。

☆『罪と罰』鈴木有布子 新書館 Wings
 借金地獄の家族と、その家に住む座敷わらしの話。
 ハガネ書いてる荒川弘さんの推薦作でもある。

☆「Lサイズの幸福」高橋留美子 小学館
『高橋留美子劇場 Pの悲劇』に収録されているマンガ。
 アニメにもなった。
 座敷わらしは幸運を呼ぶモノ……のはずが、
 ワラシのせいで最悪な出来事に遭いっぱなしの話。
 でも実はあたたかい裏がある。

☆『XXXHOLiC』CLAMP 講談社
 おはぎ好きなかわいい座敷童子が何度か登場している。

◎「おじゃる丸」犬丸りん NHK教育アニメ
 座敷わらしのワラシが出てくる。
 骨董屋みたいなところに居座り、そのうち役目をはたし姿を消す。

 あとは、記憶に薄いが『地獄先生ぬ〜べ〜』にも出てきた気がします。
posted by 未衣名 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 神さま

2006年07月26日

★『虹の天象儀』(※現在→昭和)


★『虹の天象儀』(※タイムスリップ、五島プラネタリウム、戦争、想い)
著者名:瀬名秀明
出版社:祥伝社
祥伝社400円文庫
★★★
出版年:2001.10
ISBN :4396328842

“時を越える方法を知らなかっただけだとしたら?
 気が付かなかっただけだとしたら?”


 44年の使命を終えた五島プラネタリウム(実在したとこです)。
 従業員の主人公はそこで不思議な少年に会い、
 投影機を覗く。
 何度も見ているはずなのに、そのときだけは不思議な感覚がした。
 気が付くと自分は昭和の時代にいて、軍医の姿をしていた。

 その後再びタイムスリップして少年の姿になったりして、
 大事な文化財を守ろうとか、昔の文豪に会ったりする。
 一般的なタイムスリップモノと違う(瀬名さんオリジナル)部分は、思いが残るということ。
 ここで微妙に過去と現代が繋がっていたりして、ちょっと面白いと感じました。
posted by 未衣名 at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | タイムスリップ・時間

2006年07月25日

☆『未来日記』(※殺し合い)


☆『未来日記 1〜(続刊)』(※日記、携帯、学校、神、サバイバルゲーム)
著者名:えすのサカエ
出版社:角川書店
 少年エース
★★★
出版年:2006.07
ISBN :4047138398

“なんで今日の日付でもう日記が打たれているんだ…?”

 携帯で日記を書くことが日々の楽しみの主人公雪輝。
 彼はある日、未来の自分の日記が書かれているのを発見。
 しかもそれは本当に起こった。

「はれときどきぶた」とか「ドラえもん」の類は書いたことが本当になる話で、
 これは書かれていることが本当になる話。
 
 テストの成績が良くなったとか、初めは有頂天の彼。
 でも、知らぬ間に日記をめぐるサバイバルゲームに巻き込まれていく。
 未来日記を持っているのは全部で12人。
 最後に生き残ったものに「神の座」が与えられる。
 殺される前に殺せ(by時空王)。
 ドロドロの殺戮が始まる。

 12人全員が未来が書かれている未来日記を持っているわけで、
 みんなが未来を知っている。
 そこをどう変えていくか。
 日記の属性に関しても面白い。

 でも、恐すぎるので続きを読もうとは思わない。
 仲間との殺し合いだぞ?
 ありえなさすぎる。
 
posted by 未衣名 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(3) | 殺人・犯罪・復讐

2006年07月24日

★『チャームド 魔女三姉妹』(※魔女)


★『チャームド 魔女三姉妹 1〜2(続刊)』(※魔法、影の経典、呪文、悪魔、姉妹、血、家族、恋人、天使、時間)
著者名:青木由香(編著)
出版社:竹書房
 竹書房文庫
★★★
出版年:2006.06〜
ISBN :481242741X

“三姉妹の出現で頂点になるんだって。
 史上最強の魔女になるの。
 魔物と戦う善なる魔女。あたしたちのことだよきっと!”


 海外ドラマのノベライズ。
 生まれて初めて超のめり込んだ海外ドラマです。
 自分の家で見つけてしまった魔法書「影の経典」の呪文を唱えたことで魔女の力が目覚めた三姉妹。
 長女プルーにはモノを動かす力。
 次女パイパーには時間を止める力。
 三女フィービーには未来を見る力が備わった。
 三人はそれぞれの能力を合わせ、次々に襲ってくる魔物を倒していく。
 
 この小説版はまあまあなんだけど、映像は超おもしろいです。
 ・魔女とフツーの人間の話
  ……魔女と人間の恋、血の話
 ・魔女と魔物
  ……禁断の恋は実る?
 ・魔女と天使
  ……天使は魔女のサポート役。
    でも恋は禁止。でも好きになっちゃう。
 ・三人の力
  ……魔力がなくなるとか、一人が死んじゃうとか、いろんな苦難がある。
 ・過去
  ……タイムスリップして過去を知る
 とか。
 ハリポタよりこっちです。
posted by 未衣名 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 魔法・魔女・魔法使い

2006年07月23日

●『シナオシ』(※現在→過去)


●『シナオシ』(※タイムスリップ、転生、魂、高校生、交通事故、殺人、名前)
著者名:田代裕彦(著)
出版社:富士見書房
富士見ミステリ文庫
★★★★☆
出版年:2005.12
ISBN :4829163305

“犯罪者も犯罪者さ。立派な殺人者だよ。僕は。
 それも衝動殺人なんかじゃない。
 五年も前から虎視眈々と機会を窺っていた、正真正銘の計画殺人さ”


 ワケがわからなくて理解するのに時間がかかったけど(笑)、
 かなり楽しめた。

 寿命を残したまま死んでしまった僕。
 僕は死後の世界で<案内人>と呼ばれる人物に会い、まだ寿命が残っているといわれる。
 生き返りのチャンスがある僕は、別の体を持って戻ることになった。
 過去に行くから。
 自分は犯罪者。
 あの時に戻り、自分の犯す殺人を食い止めることが目的だ。
 僕が殺した人を、僕が殺すことだけはいけなかったから。
 僕は<私>になって、これから犯すであろう罪を追いかけていく。

 しかし、殺人を食い止めるのは簡単なことじゃない。
 僕が誰なのか、その記憶がなかったから。
 殺人を犯すものとやられる側の一人称で、順番に語られている。
 だから、ドキドキ感が普通じゃないんだよ。
 それに、人前ではおとなしいくせに腹の中では超こえーこと考えていたりするあたりが妙にリアルだったりする。
 しかもラストに近づいてくると「??」なサプライズがあるし。
 うん、すごかった。

 この本の関連本、『キリサキ』も気になってきました。
 こっちから読むべきだったなー。
posted by 未衣名 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(1) | タイムスリップ・時間

2006年07月22日

●『永遠のフローズンチョコレート』(※殺人)


●『永遠のフローズンチョコレート』(※高校生、三角関係、夜、ナイフ、不死、少女、チョコレート、バレンタイン、家族)
著者名:扇智史(著)
出版社:エンターブレイン
 ファミ通文庫
★★★★
出版年:2006.02
ISBN :4757726279


“あたしは人殺しなの。いままで、三人殺した”

 おもしろかった。
 表紙からして魅かれるし。
 自分と似ているかもしれない。
 殺人って、そういうことかもしれない。

 これは、主に3人の物語。
・闇夜に殺人を繰り返す理保。
 →別に何の感情もなく、ふつーに殺人を行う。
・彼女の彼氏、基樹。
 →理保のことは好きなのかわからない。
  人殺しであることは承知。
・理保に一度殺されたことで友だちになった、不死の少女実和。
 刺されても何されても死なない。
 高校生くらいだが年齢不詳。
 不死の話によくある、大切な人に先立たれる哀しい系の過去はナシ。
 
 女2人、男1人の奇妙な三角関係が描かれている。
「死なない少女」っていうちょっと違う設定はあるものの、
 全体的にはフツーの日常生活がある。
 誰でも一緒なんだなーと思う。
 高いトコにいると飛び降りたくなるとか、
 いいにくいことを口で説明するとすべて嘘になるとか、
 学校サボってどっか遠くいくとか
 
 とりあえず、
 ※主人公理保が殺してきた人は3人じゃありません。
  それからも増えまして、かなり殺しを繰り返しています。
 ※罪に関しては特に描かれてません。
 ※一部百合シーンがあります。

 承諾できた方はぜひ。
 おもしろいです。
posted by 未衣名 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(1) | 殺人・犯罪・復讐

※殺人経験アリの10代(若い人)

 ↑というものを挙げてみようと。
永遠のフローズンチョコレート』関連です。
 かっこよく描かれていたり、武勇伝のごとくであったり、罪を背負っていたり、人それぞれです。

☆『スパイラル』水野英多・城平京 ガンガン
 ゲーム感覚の殺しが行われている。

★『少女は踊る暗い腹の中踊る』岡崎隼人
 一人の少女のために殺人を繰り返す少年。

●『戯言シリーズ」西尾維新 講談社
 連続殺人鬼の零崎人識をはじめ、憎めない殺人鬼がたくさん出てくる。

●『キリサキ』田代裕彦
●『シナオシ』田代裕彦

 主人公が連続殺人鬼だったり人殺しだったり。
 憎めないキャラ系。

●「東京Angelシリーズ」本沢みなみ
 高校生の人殺し。秘密組織の暗殺の仕事してる。
 後半は組織を抜けたいという苦悩が描かれている。

◆「少女海賊ユーリシリーズ」みおちづる フォア文庫
 世界の大半を壊してしまった過去がある主人公。
 大陸を壊したのだから、当然多くの人を殺している。

★『平成マシンガンズ』三並夏
 夢の中での人殺し。

>ほか
 デスノート、リアルワールド子どもたちは夜と遊ぶ、バトルロワイヤル、四季シリーズ、Rose Hip Zero
posted by 未衣名 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 殺人・犯罪・復讐

2006年07月21日

★『神様のパズル』(※天才)


★『神様のパズル』(※宇宙、物理、大学、田んぼ、おばあちゃん、出生の秘密)
著者名:機本伸司
出版社:角川春樹事務所
 春樹文庫
 単行本(02’11)
第3回小松左京賞
ベストSF2003国内篇第5位
★★★☆
出版年:2006.05
ISBN :4758432333

“宇宙が「無」からできたと言うなら、人間にも作れるかもしれません”

 留学寸前のぼくが命じられたのは、不登校の女子大学生穂瑞沙羅華をゼミに参加させること。
 彼女は天才で、大学で学ぶことは何もないとの理由で学校に通っていなかった。
 わずか4歳で微分積分を理解できたという超天才児(ありえねー)。
 そんなに天才なんだから何も学ぶことはないな。
 確かに。

 しかし、彼女にもわからないことはある。
「宇宙を作ることができるのか」という疑問を投げかけると彼女は顔を出した。
 そりゃ、宇宙を作るなんていうのは実現されてませんからな。
 宇宙は無からできた。だったら無である今の状況から宇宙は作れるのではないか。
 彼女はそういいだす。
 いや、無からは無理だろ。とは思いつつも、
 うん、正論だ。
 作れるんじゃね?

 と、わくわくしながら読んでました。
 物理専門じゃないので難しい話はたくさんあるものの、
 単純なトリビアネタとかも含まれているので楽しく読めました。

 さてさて、天才に宇宙は作れるのか、見物です。
 あと、天才に隠された過去とかそういうのもあるので楽しみどころはある。
posted by 未衣名 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | プロ・天才

2006年07月20日

★『刻印の魔女』(※魔女)


★『刻印の魔女』(※魔法、封印の印、師匠、本、協会、血)
著者名:藤原瑞記(著)
出版社:中央公論新社
C・NOVELS Fantasia
★★★
出版年:2006.06
ISBN :4125009457

“あなた、伯父さんに使われたままでいいの?”

 両親と離れて生活しているトリシャ。
 彼女の前にある日魔女ウォレスが現れ、彼女は弟子入りする。
 しかしその師匠は行方不明に。
 トリシャは師匠を探す旅へでる。
 一方で、辺境では魔道士による殺戮事件が起こっており、
 犯人を探している魔道士がいた。
 で、二人は出会う。
 表紙の女の子と男の子のことです。

 魔道士は軽蔑される、避けられる世界。
 魔法を使えるものは全て手に大きな戒めの証がある。
 それがあると人を傷つけることができない。
 でも逆に、100%悪いことができないから信頼の証でもある。
 これがあるからこそ、かろうじてこの世界でやっていけるという感じ。
(わたしがされたら絶対に嫌ですが)
 そういう世界。

 ↑この設定が最後までキーワードとして関わってきている。
 ちょっとむずかしめな感じもしたけれど、おもしろかった。
 イタチのときのジャックが好き。
posted by 未衣名 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 魔法・魔女・魔法使い

※魔法、魔女の世界

 数え切れなさそうなので今まで避けてたカテゴリ。
 とりあえず、この機会にまとめてみる↓

★「マジカルランドシリーズ」ロバート・アスプリン ハヤカワ文庫
 見習い魔術師が魔物に弟子入り。

☆『MAGi MAGi 全2巻』鈴木次郎
 人間の女の子が魔法の世界へ行く。
 ただ、そこの世界は年を取らないと魔法が身に付かないおかしな世界。

★『これは王国のかぎ』荻原規子
 現代→異世界系の話。
 悪い魔女にのろいをかけられたりする。

●『ゼロの使い魔
 これも現代→異世界で。
 人間の男の子が、魔女の女の子に使い魔にされてしまう。

●『東方ウィッチクラフト 全6巻』竹岡 葉月 集英社 コバルト文庫
 人間の女の子が、魔女の男の子に使い魔にされてしまう。
 上の本と同様、ハプニング系なめぐりあわせです。

☆『シュガシュガルーン」安野モヨコ 講談社 なかよし
 魔女界の時期クイーンを決めるため人間界に降りてきた魔女。
 恋とかハートとか、ラブバトルっていうか。けっこう好きな作品。

☆『姫ちゃんのリボン』水沢めぐみ 集英社 りぼん
 自分とよく似た顔を持つ魔法の国のお姫様が、一年観察する代わりに何でも変身できるリボンをくれる。
 物語後半からは実際に魔法の国へ行ったりもする。 

◎「おジャ魔女どれみシリーズ」東映アニメ
 人間界で暮らしていた魔女を「魔女」だと見破った少女が、魔女見習いとして魔法を使っていく話。
 そのうち魔女界と人間界を行き来して、ピンチになった魔女界を救ったりする超感動作。

◎「魔法少女隊アルス」NHK教育アニメ
 現代→異世界系のアニメ。
 人間界にあるはずのない魔法書を手に取ってしまったアルスが魔女界へ飛ばされ戻れなくなる。
 そこで人間であることを隠しながら魔女として生きていく。

>ほかにおもしろいコミック・アニメ
 ヤダモン、魔法使いサリー、しましましっぽ、魔法騎士レイアース、カードキャプターさくら、赤ずきんチャチャ、ぷちぷりユーシィー、魔法少女リリカルなのは

>児童書
 風の丘のルルー、魔法少女マリリン、シェーラひめのぼうけん、ふたごの魔女、魔女の宅急便、トマト魔女の魔女修業、ハウルの動く城、クレストマンシーシリーズ

>ほか小説
 龍と魔法使い

>海外ドラマ
 チャームド魔女3姉妹
posted by 未衣名 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 魔法・魔女・魔法使い

2006年07月19日

●『学園キノ』(※パロディ)


●『学園キノ』(※キノの旅、学園、田舎)
著者名:時雨沢恵一(著)
出版社:メディアワークス
 電撃文庫
★★☆
出版年:2006.07
ISBN :4840234825

“いいですか、木乃。
 正義とは、暴力のことではないのです”


 電撃文庫『キノの旅』の続編というか番外編というかパロディというか……。
 4巻あとがきの続きといえば続きで……。
 全体的にいうとあんまり楽しめるものじゃなかった。
 本編の方が良いね。
 イメージが崩れたとかじゃないんだけど、
 遊んでるなー、とか好き勝手やってるなーとか、
 時雨沢さんだから出せた本という感じです。
 でも、この木乃も好き。
 おばあちゃんも好き。

>キノ以外のパロディについて。
 パクリまくっているみたいなことがあとがきにありましたが、
 元ネタほとんどわからず。
 気づいたのは、「カレイドスター」のオープニングだけですよ。
 ちっちゃなとこでいうと「セカチュー」くらい。
posted by 未衣名 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(3) | ベースあり

※パロディマンガ

 ↑の記事『学園キノ』に関係しまして、
 元ネタが含まれるパロディの本を少し。

☆『焼きたて!! ジャぱん』橋口たかし 小学館 サンデー
 パン作りのマンガ。
 味の表現に、いろんな元ネタが含まれている。
 自社のコナンやワイルドライフを初め、
 銀河鉄道999とか巨匠の作品まで幅広いです。

☆『太臓もて王サーガ』大 亜門 集英社 少年ジャンプ 05/12〜
 主人公が異世界から現代にやってくる系のギャグマンガ。
 めちゃパクッてます。
 わかりやすいコネタが多い。
 宮崎駿のカリオストロの城での銭形警部のラスト一言とか、
 ラピュタのムスカの有名なセリフとか、
 スラムダンクのあれとか、
 ミルモ、ドラゴンボール、いちご100%、デスノ、BLEACH、ナルト、マジレンジャー、ドラえもん、ガラスの仮面、シュガシュガルーン、エヴァ、姫ちゃんのリボン、まるマ、ONE PIECE、カレイドスター……。
 あー、もう挙げきれん。
 ってか、堂々とやってのけるのがすごすぎ。
 とりあえず、出版社は関係なく、少女漫画も含め、有名マンガは全てパクられてます。
 ※下品なマンガですので、それでもよろしければどーぞ。
posted by 未衣名 at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ベースあり

2006年07月18日

☆「ワオンアパート」(※アパート)


☆『刺星(Shisei)』(※チョコレート、妖怪、星、刺青)
著者名:中野シズカ(著)
出版社:青林工藝舎
短編集
←『刺星』収録作品
★★★☆
出版年:2004.07
ISBN :4883791602

“うまくいかないもんだな”

 一人ずつ、七音が住むことになった和音アパート。
 ハーモニーをしたり、ヘンな不協和音になったり。
 不思議な世界です。

 さて、本日のコミックは短編集。
 以前朝日新聞で紹介されたことがあるマンガです。
 絵の8〜9割がスクリーントーンで創られているという、面白い創りになってます。

 絵もあたたかい。
 表紙の男の子を見ると「どこが?」みたいに思うかもしれませんが、
 中身はかわいい女の子や男の子、ダンディなおじ様などが描かれているんですよ。
 
 他のオススメは、「モノノケ」と「エトワール」。
 表題作「刺星」もいい話。

 

★『地下鉄に乗って』(※現代⇔昭和)


★『地下鉄に乗って』(※父親、地下鉄、東京、戦争、愛人、兄、家族、血)
著者名:浅田次郎
出版社:講談社
講談社文庫
徳間文庫(04)
映画化
吉川英治文学新人賞
★★★★
出版年:1999.12
ISBN :4062645971

“悪いといえば、悪いな。
 目も耳も鼻も、どうかなっちゃったみたいだ”


 今年10月に映画公開になるもの。
 というわけで、ちょっと読んでみた。
 つまらないクラス会のあと、地下鉄駅でタイムスリップを起こしてしまう。
 気が付いたら戦後の昭和。
 場所は昭和だけど、電話だけは現代と繋がっているという不思議な状況に立たされる。
 彼は現代と昭和を行き来することで、
 地下鉄駅で自殺を図った兄のことや、
 社長をやっている父親(憎い存在)の少年時代を知る。
 まあ、複雑な家族関係があるんです。
 それから現代と昭和を行き来するわけですが、
 タイムスリップするたびに、どんどん過去へ遡っていき、今の父を知る、みたいな。

 しかし、東京を知らないからか、それともジェネレーションギャップのせいなのか、
 それが邪魔してあまり楽しめるものじゃありませんでした。
 少しはいいとこもありましたけどね。
 父親の少年時代とか。
 弱い心もあったんだ……とかさ、

 あと、主人公の愛人みち子のこととか。
 みち子についてはショックというかなんというか。
 いろいろ考えてしまう。

 映画は、気が向いたら見ようと思います。
posted by 未衣名 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(4) | タイムスリップ・時間

2006年07月17日

☆『目隠しの国』(※視える目)


☆『目隠しの国(全9巻)』(※過去、未来、高校生、恋、家族、絆、友だち、犬)
著者名:筑波さくら
出版社:白泉社
 LaLa
★★★★★
出版年:2000.02〜04.4
ISBN :4592177541

“いやってほど知ってるはずだ。
 オレは普通じゃない。
 人と関わるとそれが際立つ。
 踏み込まないように、関わらないようにしてきたじゃないか”


 触れた人の未来が見える、かなでと並木。
 逆に過去が見える、あろう。
 一見すごい特殊能力のように見えるが、家族や友だちには「気持ち悪い」と見放されたりする哀しい過去を多々持っている。
 しかし同じ境遇を持つ3人が出会ったことで、それがだんだん癒えていく。

 とてもあたたかい話です。
 人に触れることが一種のトラウマになってたり、
 友だちに嫌われることが慣れになってしまったり、
 親に嫌がれながらも気に入られようとする純粋な子ども時代とか、
 とにかくいろんなことがあるのですよ。

 でもやっぱ、未来を見て事故に遭う危ない人を助けたり、
 過去を見て無くなったモノや行方不明の人を探したり、
 そういう人助けもできるのです。

 信じられる仲間がいるっていいですね。
 思いっきり笑顔を見せ合える仲間っていいですね。
 遠慮する必要がない仲間っていいですね。
 
 すげーいい話だった!
 細かいところも描ききれているし。
 と、古いマンガを一気読みした今日この頃。
posted by 未衣名 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 力・特殊能力

☆『LOVE HOUSE』(※同居人)


☆『LOVE HOUSE』(※マンション、恋、バイト、大学、友だち)
著者名:橋本ライカ(著)
出版社:河出書房新社
 九龍
★★★★
出版年:2003.06
ISBN :4309728340

“家賃、すごおおく安くなるわよ。
 一人二万”


 一緒に住んでいた同居人に去られ、8万の家賃を全額背負うことになっためぐみ。
 しかし、元同居人の紹介により新しい人が越してくるのだがそれが+2人いて……。
 それでさらに一人増えて。
 ホステスをやっている昼夜逆転人間の女の子、
 劇団で人形制作に携わっている男の子、
 無職で元・主夫の男の子、
 ↑彼の元雇い主である女の子
(雇い賃はなんと月25万!)

 読んでて楽しい。
 彼ら・彼女らを見ていて楽しい。
 何が一番いいかといいますと、「肉じゃが」。
 主人公のめぐみには片思いの男の子がいて、
 でも彼は鈍いしデザイン事務所のアルバイトに夢中で、
 自分のことに精一杯。
 毎日カップラーメンやコンビニ弁当ばかり食っているんですよ。
 それは彼にとっては苦痛なことで、
 誰かの手料理に飢えているんです。

 うまくいきそうで進まぬ恋。
 このじれったさがいい。
 最後に結ばれたときはかなり爽感。 

2006年07月16日

★『犬はどこだ』(※探偵)


★『犬はどこだ』(※古文書、失踪人、図書館、喫茶店、ネット)
著者名:米澤穂信(著)
出版社:東京創元社
ミステリフロンティア
★★★★☆
出版年:2005.07
ISBN :4488017185

“こうなってまで、あんたは何がしたい?”

 順調な人生。
 大学いって、高い倍率ながら銀行に就職した主人公の長一郎。
 しかし彼は、皮膚の病気で仕事をやめざるを得なくなってしまった。
 絶望から立ち直った後、彼が始めたのは犬探し専門の探偵。
 ところが、開業早々迷い込んだのは行方不明の孫探しに、
 古文書の解読。
 突然押しかけてきた旧友ハンペーをしかたなく雇い、
 二人は事件を追っていく。

 めちゃおもろい。
 こういう控えめ系の探偵って大好き♪
 ハンペーとのやり取りは笑いのツボです。
 特に二つの事件がクロスしてきたあたりからは特に。

 喫茶店で仕事をしているパシリ役の妹。
 ネットを通じて何かと相談に乗ってくれるGEN。
 図書館で「捜査をやめろ」と忠告してくる謎の男。
 とかいろいろ、気になる人たくさん出てくるしね。

 ユーモアO.k.
 キャラは立ってるし、人間関係もいい。
 続き読みたいっ。
(続編はありません)
posted by 未衣名 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 謎とき

2006年07月15日

●『うれしの荘片恋ものがたり』(※寮)


●『うれしの荘片恋ものがたり』(※日常ミステリ、引越し、恋、いとこ、学園、過去、本、名前、出生の秘密)
著者名:岩久勝昭(著)
出版社:富士見書房
 富士見ミステリ文庫
★★★★
出版年:2006.06
ISBN :4829163542

“正解を選択するんじゃなくて、選択したほうを正解だと信じる。
 そうやって、目の前の壁を破っていくんだ”


 いきなり萌え系の絵でごめんなさいっ。
 真面目な本たくさん読んでますけど、
 わたくし、こーいう絵のやつも読みます。
 絵はあんま好きじゃないけど、内容はいいです。
 小説は挿絵じゃなくて、中身ですよ、中身。
 すらすら読めるし、楽しい。楽しかった。

 誰かの紹介でしか入寮できないうれし荘。
 寮長であるいとこの姉さんのおかげで寮暮らしを始めることになった主人公直志。
 たまたま出会った女の子瀬名さんに恋に落ちる。
 分類的には日常ミステリ。
 ふつーに発生しうる謎を、主人公がなにげに解いちゃう系。
 米澤穂信さんあたりに似ているかもしれない。

 引越しの荷物の謎とか、
 たくさんいるはずの寮生が他に見当たらない謎とか、
 暗号のような文の解読とかいろいろ。
 キャラクターも楽しい。
 従兄弟の鷹美さん(マジョリーさんや、古典部に出てくる姉さんに似ている)が一番好き。
 パワフルなところ。
 スーツに木刀っていうみょーな姿ですけど、
 人想いな性格なんです。
 元気になれる。

2006年07月14日

★『格闘する者に○』(※就職)


★『格闘する者に○』(※家族、跡継ぎ、マンガ、面接、大学)
著者名:三浦しをん(著)
出版社:新潮社
 新潮文庫
 草思社(00)
★★★★
出版年:2005.03
ISBN :4101167516

“好きなものを諦めたら後悔するって、さ。
 やるだけやれば、悔やまずにすむ、だろ?”


 直木賞を獲ったしをんさんのデビュー作。

 主人公は、マンガ編集者になるため出版社を受けまくる大学生の可南子。
 就職活動の話です。
 就職活動の不条理さっていうか、SPIだのわけのわからない面接だの、嫌なことが多い。
 就職するって大変。
 内定をもらうのはかなり苦労する。

「ワタシも苦労しましたよ」
 と、ちょっと前の自分を振り返ってみた。
 やっぱだれだって思うことは一緒だよね、と思った。
 特に出版社系は大変だよなあ。
 友だちにK談社の就活パンフレットみせてもらったけど、あれはすごかった。
 黒を基調とした紙の真ん中に「K談社はそんなにあまくねえ」という見出し。
 周りを囲む赤は血を流したようなデザイン。
 社員の写真は、全て編集者たちの疲れて死にきった姿。
 んなもんみたら誰もいかねーよ。ぐらいな勢いで描かれているんだからすごい。

 って、話がずれた。
 主人公は、継母と半分しか血のつながりのない弟との暮らし。
 父親は二人のどちらかに、自分の後を継いでもらいたいと思っている(政治家)。
 もちろん可南子にはその気はないし、
 弟は弟で民俗学を学びたくて文学部を目指す。
 可南子は超年の離れた彼氏(じいさん)がいて、
 大学にはそんな真面目にいっているわけでもなく、
 マンガ喫茶でたくさん本を読むことが幸せ、みたいな感じ。

 登場人物には、みんなそれぞれの道がある。
 同じと思うことが多かった。

2006年07月13日

★『いつかパラソルの下で』(※父親)


★『いつかパラソルの下で』(※コンプレックス、恋愛、血、恋人、浮気、兄妹、島、仕事、パワーストーン)
著者名:森絵都(著)
出版社:角川書店
平成17年上半期直木賞候補作
★★★☆
出版年:2005.04
ISBN :4048735896

“愛しても、愛しても、私自身はこの世界から愛されていないような、そんな気がこころのどこかでいつもしていた”

 祝☆直木賞。
『風に舞いあがるビニールシート』もそのうち読んでみたいなあ。
 森絵都さんの受賞はうれしいんだけど、またもや伊坂さん落選――。
 めちゃショックです。

 さてさて、『いつかパラソルの下で』。
 あらすじは角川書店公式HP内の特設ページを参考にしてもらうってことにして感想を。

 主人公が28歳女性というわけで、森さんにしてはかなりアダルティな内容。
 性描写がふつーにたくさんある。
 わたしはそういう大人シーンが嫌いだ。
 でも、これは好感度が高い。
 セックスにコンプレックスがある女性だからかもしれない。
 というか、厳格のある父に押さえつけられた子ども時代。
 せっかく自由になれた今でも、父のことがあって何でも父親のせいにしてしまう主人公。
 それら一連のことが、わたしに、自分に似ているのです。

 そしてもう一つ。
 主人公が悩む性に関しては、ちゃんとした理由がある。
 父親の過去を調べ始めてから明らかになる、祖父の血の事。

 うーむ、これも自分と似ているんだよなあ。
 性関係の血じゃないんだけど、祖父のいらない血がかなり濃く自分には受け継がれているようで、どうしようもなくなることがあるんですよ。
 自分とこの本の主人公、似すぎです。
 多々共感。
posted by 未衣名 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 人物、家族、家庭

2006年07月12日

●『ラジオガール・ウィズ・ジャミング』(※海賊放送)


●『ラジオガール・ウィズ・ジャミング』(※ラジオ、戦争、復興の街、軍、人の温かさ、戦争孤児)
著者名:深山森(著)
出版社:メディアワークス
電撃文庫
★★★☆
出版年:2006.07
ISBN :4840235058

“皆さん、こんばんはっ!
 お元気ですか? いつでもあなたの側に。
 J・O・L西部海賊放送の時間です”


 戦争後復興した街西部シムカベル市。
 新聞、テレビ、ラジオ、あらゆるメディアの展開が禁じられているところ。
 しかし、禁じられているラジオ放送は届けられていた。
 発信者は、戦争で全てを失った少女・レコリスと、
 元軍兵のダニエル。
 軍の包囲網をくぐって機材を設置し、天気予報や軍などの情報を街に届けている。
 街の人はラジオ放送を楽しみに待ってる。
 夜は屋根の上で軍と追いかけっこです。
 
 人は情報がないと生きていけない。
 一人でいても、何かに繋がっていると安心することもある。
 わたしは、ちょっと前はかなりのラジオっ子でした。
「こちらは、JOLF。〜」なんていう初めと終わりの決まり文句はよく聞いていたもんです。
 オールナイトニッポンをはじめ、ラジコミ、POP’n、ベストテンほっかいどう、ジェットストリーム、青アド、アヴァンティー……。いろいろつけっぱで聞いてました。

 ラジオはいいよ。
 特に夜のラジオってのは。
 最近はヤンキー先生がお気に入り。
 
 主人公レコリスは、録音ではなく肉声を届けることにこだわってる。
 レコリスと相棒のダニエルの関係もいいんだけど、
 軍にいるドロンにも注目。
 軍の人間だけど、敵だけど時折「いい奴!」って思うことがある。
 ルパンでいう銭形警部みたいな。
 この本は、全体的に人が温かいです。
posted by 未衣名 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(2) | 怪盗・ドロボウ

2006年07月11日

★『死神の精度』(※死神)


★『死神の精度』(※死、音楽、雨、ヤクザ、吹雪、洋館、罪、美容院、日本語、名前、恋、同僚、仲間、歌手、事件、仕事)
著者名:伊坂幸太郎(著)
出版社:文芸春秋
オール讀物
本屋さん大賞第3位
第134回直木賞候補作
★★★★★
出版年:2005.06
ISBN :4163239804

“俺が仕事をするときはいつも雨なんだ”

 死神が人の死を決定するのは、情報部からの連絡を受けて7日後。
 その人の「今」を調査し、死んでもいいかを決断する。
 死神には決まった年齢も姿もなく、その時々によって変えられていく。
 変わらないのは、名前だけ。苗字が地名なら死神かもしれない。
 死神の主人公、千葉には人の死になんて興味がない。
 それでも死が迫った人を追っているのはただ単に「仕事だから」。

 伊坂作品は高度なものが多い。
 これは6つの話からなる連作短編小説。
 1話目からレベルが高いな、と読み進めていくと、めちゃめちゃレベルの高い作品と出会えた。
 5話目の「旅路を死神」。
 母親を刺し、偶然であったチンピラを刺殺した20歳の少年。
 そのあと死神の運転する車にナイフを持ち乗り込んでくる。
「運が悪かったと思っていうことききな」みたいなこといって。
 少年は脅し相手が死神だなんてもちろん知らない。
 少年は、さらにもう一人の男を殺しに行くという。
 
 真面目に読んでいたら涙が出た。
 というか、読まずにはいられないほどぐいぐい引き込まれた作品。
 ねっころがりながら読んでた姿勢を思わず正した。

 死神と二人、車に揺られながら少年は、誰にも明かしたことのなかった過去を死神に語っていくのです。
 少年が犯罪を犯すのは、大半が家庭が関わっている。
 これもさ、衝撃的なことを母親がやっちゃってるの。
 彼が逆上してお母さん刺しちゃうのもわかるのよ。
 でもさ、それを上回るさらに衝撃的な結末が待ってるの。
 泣かずにいられるか。
 
 超いい話です。
 あー、でもこれ、直木賞に入らんかったんだよなあ。
 ちなみにそのときの受賞は東野圭吾さん『容疑者Xの献身』。

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小説や漫画「死神」ブーム
posted by 未衣名 at 22:22| Comment(2) | TrackBack(1) | 死者・死神・魂

2006年07月10日

★『県庁の星』(※仕事)


★『県庁の星』(※スーパー、役人、惣菜、売場、リストラ、浮浪者、彼女)
著者名:桂望実(著)
出版社:小学館
 映画化
 漫画化
★★★★☆
出版年:2005.09
ISBN :4093861501

“マニュアルなんかない。
 実際に体験して、考えて、自分なりの一番いい方法を見つけりゃいいの。
 マニュアルなんてうちの店にはない”


 スーパーでのアルバイト経験があるので、これはかなり楽しく読めた。

 主人公は県庁で働く野村聡。
 人事交流研修と称され、2万9千人の職員の中から選ばれた6名のうちの一人である期待の星。
 研修終了後は県庁でのさらに上のポストが用意されている。

 野村が派遣されたのは田舎のスーパー。
 スーパーといっても、フロアを3階持つ大きい店で、ヨーカドーとかジャスコみたいに食品から洋服、家具までいろいろ売ってるお店。
 しかし、売り上げが悪くリストラを考えている店で、
 パートの主婦二ノ宮が店を仕切っている。
 映画で柴崎コウさんが演じていた女の人です。
 店長は不倫相手に刺され入院。
 副店長はだめだめだし、社員から命令される仕事にはまったく精が出ない。
「何で俺がパートのおばちゃんにもできる仕事をしなくちゃいけないんだ……」みたいな。

 寝具売場、日用品売場を経て、最終的に食品の惣菜に行き着く。
 彼がそこで見たものは、賞味期限の改ざん。
 期限切れの商品を客に売っているずさんな日常行為だった。
 映画「スーパーの女」に比べればマシですが、実際やられたら間違いなく訴えられる行為です。
 黙っていられなくなった県庁さんは惣菜の調理室を二つに分け、従来の商品に対抗した高級弁当を開発し、どちらが売れるかのバトルをする。
 
 役人意識がだんたんと変わっていくところがいいです。
 県庁さんを嫌っていた人が少しずつ付いてくる。
 あと、見逃せないのが浮浪者の「部長」さんと犬。
 期限切れで捨てられた弁当を拾いにくるんですが、これが味のよくわかっている人で、いい助言してくれるんです。
 ネズミのアナトールみたいに。